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エッシャーが僕らの夢だった

エッシャーが僕らの夢だった
野地 秩嘉
エッシャーが僕らの夢だった
定価: ¥ 1,427
販売価格:
人気ランキング: 760950位
おすすめ度:
発売日: 1996-10
発売元: 新潮社
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野地秩嘉の原点を見た
 M.C.エッシャーの最大の個人コレクションが日本にある。この本は、
エッシャーがこれまで日本でどのように紹介され、エッシャーのコレク
ションがどのような経緯で日本人の手に渡ったのかを、内部事情を詳細
に明かしながら語っている。
 著者の野地秩嘉氏はこの本を書くために、コレクションのオーナーで
ある甲賀正治氏に会ったのではない。野地氏はもともと甲賀氏との知り
合いであり、何よりも甲賀氏の人柄に魅せられて彼のもとから離れられ
ずにいた。成り行き上、エッシャーのコレクションを手に入れる経緯の
一部始終を知っていた。そして自分がこの経緯を記録しておかなければ
ならないと考えてライターとして身を立てることを考えたのだ。
 野地氏は60年代から80年代にかけての日本に活気があった時代の雰囲
気を、じわりと汗ばむような手触りとともに伝えることに長けた作家だ
と思うが、この本で語られる内容が、彼の一連の著作の原点にあるとい
うことを知った。つまり偉大な業績そのものの価値を語るのではなく、
それを残した人間の人物的な魅力を追求していくというスタイルであ
る。このスタイルは、甲賀正治氏との出会いから築かれていったのだと
推察する。
 この本は、本自体の作りがスタイリッシュでとても気に入った。また
ところどころに収められているエッシャーの作品も当然のことながらす
ばらしい。美術の好きな方、美術ビジネスに興味のある方には、本の装
丁を含めて楽しめる1冊である。 

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