だましゑ歌麿 (文春文庫)
高橋 克彦

定価: ¥ 820
販売価格: ¥ 820
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おすすめ度:

発売日: 2002-06
発売元: 文藝春秋
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胸がすっとする
高橋克彦の江戸を舞台にした作品はほとんどが面白いと思いますが、これはその中でも上のほうではないかと思います。
実在の人物がどんどん出てきて、名前を知っているだけに登場人物に入り込むことが出来ます。
最後は胸のすくようなハッピーエンド!やっぱこうでなくっちゃ!
江戸っ子になりたい
登場人物の描き方が、とてもわかりやすいので、まるで江戸にタイムスリップしてしまったよう。
めっぽう強くて、曲がった事がでぇきれぇな八丁堀の旦那
気は強いが情には厚い、柳橋じゃあ引っ張りだこの芸者
そんな登場人物に自分を重ねて楽しんでしまうのも、面白いかも。
また、実在の事件、人物も出てくるので、歴史小説のような「江戸ミステリー」という所も楽しめます。
ただ、さわやか過ぎて、もうすこし裏切ってくれてもいいかな。
庶民の楽しみが奪われていく暗い世相を背景に起こった大事件
老中松平定信が、賄賂政治で町民までが賑わった田沼時代の弊害を払拭しようと躍起になっている寛政2年(1790年)、深川一帯が大嵐による高波に襲われる。そこに家のあった浮世絵師喜多川歌麿は出かけていて無事だったが、彼の妻が災難のドサクサに紛れて何者かに連れ去られてしまう。事件を追うは、南町奉行所の同心、その名前から千に一つの目こぼしもない千一と恐れられている仙波一之進。事件には何かとてつもない裏があるようで、上役から調査を止められる中、同心の役職どころか命まで懸けて事件の謎を追っていく。
持ち前の正義感で巨大な力を持つ相手に立ち向かっていく千一はじめ、その父親の左門、柳橋一の売れっ子芸者おこう、売れない浮世絵師の春朗(後の葛飾北斎)ら、ワキを固める登場人物たちも魅力的で、誰がなぜ歌麿の妻を連れ去ったのかという複雑に絡み合った謎もスッキリとまとまっていて良かったのですが、何よりも興味深かったのが、寛政の改革について。白河藩主の老中松平定信が断行した、質素倹約を旨とする改革で、一時は喜ばれるが、あまりに細かく厳しかったため次第に庶民の不満が募り、ついには松平定信が老中職を失脚する、と学校の授業で習うようなことは知っていましたが、本作には改革に対する庶民の不満の様子が書かれていて、なるほど、実際こんなだったのだろうとうなずかされることしきり。とてもおもしろく読めました。
庶民の楽しみが奪われていく暗い世相を背景に解き明かされていく大事件、力作です。